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羽についての一考察 その6-1
一度何か書き出すと止まらないざます。
ということで、大した内容ではないのですが、また長くなっちゃいました。 段々長くなってるような…「一を書いて十を語る」文章が理想なんですが。 それではいきます。 ・・・・・・・・ 「迎えに来て」 これから出ようとした時、彼女からの電話。 何事かと心配しながら着いた家の玄関先で、彼女は軽く足をひきずっていた。 昨日着地に失敗して、片足を軽くひねったという。 大した事ないから松葉杖も大げさだし、学校まで行けさえすれば後はどうにでもなるとの事。 飛んでいけばいいのに、という俺の意見は却下された。まだ人前で羽をさらしてから間もないのに、そんなに目立ちたくはない、と(この間は飛んで帰ったくせに)。それに学校の周りは電線が多い(しかも高圧の)から怖いんだ。 背中に彼女のぬくもりを感じながら登校するのに俺に文句があるはずもないが、一応、仕方ないなという顔をして見せた。 「帰りはどうする?俺今日委員会なんだけど」 「ん…待ってる」 彼女は言うと、壁を手で触るようにしながら教室の方へ歩いていった。かといって痛々しいほどの様子ではなかったので俺は少し安心した。 お互いに用事のない時は、何となく一緒に帰ってはいるが、「約束」をしてというのはそうそうない。しかも今回は、彼女が俺を頼ってくれている。 それが何だか嬉しくて、子供みたいに授業が終わるのが待ち遠しかった。 委員会の間もテンション高いので、友人に訝しがられたが、かまうものか。 それこそ羽が生えたような気持ちで、俺は待ち合わせの教室に向かった。 彼女は、人気のない静かな教室で椅子に座り、頬杖をついて教科書をめくっていた。グラウンドからサッカー部だか野球部だかの声が聞こえる。 純白の羽をまとい、視線を落として集中する様子は子供みたいに無心で、長いまつげが下まぶたに影を落とす風情は何とも色っぽい。 声を掛けようとすると彼女が顔を上げた。 「終わった?」 花がほころぶような表情。ああ、俺を待っていてくれたんだよな。なんて幸せな俺。 「うん。ごめん、待たせて」 「じゃ、帰ろう」 彼女は教科書をしまい、椅子から立ち上がる。と、少し顔をしかめた。 「大丈夫か。凄く痛い?」 「うん…朝より段々痛くなってきた。やっぱりちゃんと手当てしないと」 保健室に行こうかと言ったが、あと帰るだけだからとかぶりをふって、彼女は俺の差し出した手につかまった。 いつになく素直な様子にドキリとする。ゆっくりと手を引き、もう片方の手で羽を抱きかかえるようにして俺は彼女を出口にいざなった。 柔らかく白い手、俺に体を預けるようにした彼女の髪の香り。 この間の夢を思い出し、俺は妖しい気分になってきた。このまま、左手に力を入れれば、彼女の体は俺の胸に… 「居残りか?」 バケツで冷水を浴びせられたように、俺の妄想は突如打ち破られた。 能天気なその声の持ち主を見るや、彼女は弾かれたように俺から手を離した。まるでシッシッと言わんばかりに距離をとる。 ナオ…それはないだろぉ。 彼は人懐こい笑みを浮かべて出口に立っていた。 「居残りのわけないだろ、この私が!」 彼女はつんと唇をとがらすが、頬がみるみるピンクに染まり、瞳がキラキラしてくる。 ああ~、よりによってこんな時に…恨むよタク先…。
by yukino-mori
| 2008-06-22 04:35
| ちょこっと話
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