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マンガとコスメと甘い物が好き
by yukino-mori
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羽についての一考察 その6ちょっと続き

土曜日の洗濯物は大量。
今日は洗濯機3回回しました。
干す時はいいんですが、取り込んでからが大変。

駄話ちょっと続きです。



・・・・・・

「ナオ~ご飯は?」
「あとで食べるっ」
私は足を引きずりながら二階に上がると、ベッドに突っ伏した。奴を投げるために踏み込んだ足がずきずき痛む。殴った右の拳も痛い。それもこれも奴のせいだ。
完全に頭に血が上っていた。ドキドキする胸をギュッと掴む。


私がどんな人間かという事以前に、生理的に他人に嫌われるという初めての体験。
世の中にはいろんな人がいて、自分の知っている世界が絶対ではないという事。
幸い今は環境に恵まれているが、これから先私の存在自体否定する人間に出会わない保証はないという不安。
それが好きな人によって突き付けられたのだから、尚更ショックだった。

よりによって!
そんな時にあいつは!私に不埒な真似を!
泣く時胸を借りた事も気恥ずかしいのに、私はその上唇を許すような安い女じゃないっ!
色々優しい事言って慰めてくれたのに、そういう事だったのか!気を許した私が馬鹿だった!男なんてこんなものなのか!


「……」
テレビの音、食器のカチャカチャという音が遠くで微かに聞こえる。
今、私の周りは平和だけど、これから先いつどうなるかわからない。
状況がどんなに変わっても、絶対私の味方でいてくれる人っているだろうか。
考えてみればそう多くはない。タク先でもこの通りだった。友達…マリ…は彼氏次第だし…やっぱり肉親かな。例えば親、アメリカに嫁いだ姉。
それと…

黒目がちな、子犬を思わせる表情をした男が思い浮かんだ。
私ははっとして頭を振る。さっきそいつに頭にきたばかりじゃないか!
…でも。
また心臓が勝手にどくんと鳴った。


どうかしている。奴はそんな対象じゃないはず。今までだってさんざん迫られてきたじゃないか。免疫はある。
なのに、否応なく蘇って来る、泣いていた私を力強く支えた腕、羽を撫でてくれた暖かい手のひら。どさくさに紛れてキスのひとつもしてくるかと思ったが、奴はただ優しく私を抱きとめていただけだ。
そう、さっきだって予感はしてた。もしかすると私もそれを待って…いたのかもしれない。でも、実際あいつの顔が近づいてくると、急にとてつもなく恥ずかしくなって…

…って!ちょっと!しっかりしろ私!
そ、そうだ、今私は失恋して精神的に不安定になっているんだ。
何かの本で読んだことがある、女というのは、失恋して落ち込んでる時に優しくされるとグラッと来るとかなんとか。
きっとそれだ、そうに違いない。でなければあんな…泣き虫なんかにこの私が…。

でもそれは子供のころの話だ。最近奴はめっきり逞しくなって、私は奴を殴り倒すために平手ではなくグーを使わなくちゃいけなくなった。クラスの女子何人かからも色目を使われるようになったのも知ってる。奴は隠そうとしてるけど。

気がつけば私は、タオルケットを体に巻きつけてベッドの上をゴロゴロと回って悶えていた。羽がぎゅっと圧迫されて、その痛みで我に帰る。私は起き上がり、羽を前に持ってきてそっと撫でた。ふんわりとした羽毛の肌触り。
“俺はこれ、好きだよ”
慰撫するような奴の声が脳裏に蘇る。
…また!

もうやだ!こんなの私らしくない!しかも今日失恋したばっかりなのに、もう他の男の事で悶えるなんて、そんな女だったのか私は!

とにかく、足首の手当てをしよう。
明日あいつは…迎えに来るだろうか。
開口一番、あいつは謝ってくるだろう。
そうしたら私は何て言おうか。

私はまたベッドの上を回り始めた。
by yukino-mori | 2008-06-28 16:08 | ちょこっと話
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