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マンガとコスメと甘い物が好き
by yukino-mori
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羽についての一考察 バイト編3

昨日は久しぶりに一日雨でした。
農家は基本的に晴れてる間は休めないので、ほっとした人も多いと思います。



・・・・

「ユウ君、来てくれたんだあ。今お母さんに聞いた」
「ああ、ミキちゃんか。大きくなったね」
「そんな子供扱いしないでよ。ユウ君だって背が高くて大人みたい」
彼の腕に絡みつくように甘えるミキという少女を、私は呆気にとられて見ていた。
中学生とはいえ手も足もひょろっと長く、出るところは出ていて妙に色っぽい子だ。彼は困ったような顔で私を見た。
少女は今気が付いたように、「この人は?」と言った。
「あの…手伝いに来てくれたんだ。ナオ」
「よろしく」
どうしてはっきりと“彼女”だって紹介しないんだ。私はちらっと彼を睨んだ。
「へえ、ほんとに羽だ。聞いたことはあるけど、初めて見た。すごぉい…ねえ、これって空飛べるんですか?触ってもいいですか?」
感心してまくしたてるミキ。学校でしこまれたらしい敬語がこましゃくれている。
「ナオは見世物じゃないぞ。相変わらずだなあミキちゃんは、もう中2なんだろ」
やっぱり。しかし、世の中学生はもっとシャイで冷めたもんだっていうイメージがあるけど…。
「仲…いいんだな」
いとこ同士なんだからそりゃそうだろう。そうは思ったが、つい大人気なく口にしてしまう。
「はい!」
どう取ったのか、彼女はにっこりと満面の笑みを浮かべた。
「だって、私たち将来結婚するんです!」

けっこん。
私の目は点になり、彼は蒼白になった。
「ちょっと、それ何年前の話だよっ!こ~んな小さい頃じゃないか」
「だってぇ、約束は約束でしょ」
「その年になってまだそんな事を…ミキちゃんの周りにはもっとかっこいい奴がいくらでもいるだろ」
「あたしの周りになんて、子供っぽい奴しかいないもん。やっぱりユウ君がいい」
「それはただ俺が高校生だから…」
あたふたと言い訳をする彼を見ていると、怒るというより何だか冷めてきた。
「ほう。それではミキちゃんはおまえの婚約者というわけか」
「はい♪」
「おいナオ、ちょっと」
「お似合いだな。式にはぜひ呼んでくれ、幼馴染みなんだから」
私はにっこりと笑って仕事に戻った。刀を突きつけられたような表情の彼が視界の隅に入ったが、きっぱりと無視した。
by yukino-mori | 2008-10-25 05:23 | ちょこっと話3
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