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羽についての一考察 その13-1
「羽ばなし」年明け一回目です。
今お絵描きの方が時間を取っていて、なかなか筆が進みませんが、何とか書きました。 仕事が暇だと、その間につい妄想を働かせてしまいます。(自給ドロボーです(^^;) ・・・・・・ 「男なんかに全てを許すものじゃないわよ」 だしぬけに友人から言われた言葉に、私の方が驚いて思わず周りを見回した。 「ちょっと、なんなんだいきなり」 私は声をひそめ、マリをカフェテラスの椅子に押し付けるように座らせた。 「聞いてよナオ…」 いつも元気にフェロモンを撒き散らしているマリらしくない、沈んだ声。 聞いてみると、彼氏との間に倦怠期が訪れているらしい。以前ほど彼が情熱的でなくなったというのだ。 「そんな、気のせいだろう。いつも見ている方が呆れるくらいのバカップ…いやラブラブぶりなのに」 「気のせいじゃないわっ」 その内容は、今までより電話やメールの数が減ったとか、プレゼントのセレクトに気合が入っていないとか、他人にしてみれば些細で微笑ましいものだったが、本人は大真面目だ。しかも、彼がバイト先の女の子と楽しそうに談笑するのを偶然目撃してしまったという。 「バイト仲間なんだから、別にしゃべったって悪くないだろう」 「それよ!彼もそんな事言うの。前はそんな事絶対言わなかったのに!」 その勢いと思い込みについたじたじしてしまう。こういう「女の会話」は遥かに先輩であるマリには到底かなわない。 「所詮男なんてそんな生き物なのよ!釣った魚に餌はやらないで、すぐに次の魚を釣りたがるんだわ!」 マリの興奮はエスカレートしてくる。いつもは黙って聞いてやるとそのうち収まるのだが、今回はちょっと違った。ああだこうだと散々まくし立てた後、 「ナオ、あんたまだユウ君とはキレイな関係なんでしょうね!?」 急に矛先がこっちに向いて私は慌てた。 「ちょ、ちょっと!」 「女は体を許すまでが花よ。男なんて味わうだけ味わったらもう他のに目移りするんだから!いい、そう簡単に許しちゃだめ!じらしてじらしてじらしつづけるくらいでちょうどいいのよ!」 …… 辺りがしんと静まり返り、視線が集中するのを感じて、私は天を仰いだ。 私と正反対で女っぽいマリならではのお説だ。 そんな事を言うってことは、マリはとっくに彼と… 私は図書館で一人になると、ふうっと息をついた。今時、このくらいの年頃のカップルは皆そうなんだろうか。私はついこの前まで、自分がこうなるなんて考えたこともなかったのに。 いくら好きでも、いつまでも最初の頃みたいにずっと燃え上がってはいられないだろう。そのうち炎は落ち着いてきて、穏やかなものに変わるか、あるいはまた別のときめきを求めて別れるカップルもいるかもしれない。 それに、(マリの場合はおそらく考えすぎだろうけど、)男というものは「種を蒔く」という本能を持つために、元来浮気する生き物であると聞いたことがある。言い訳という気もするが、そんな風に達観しなければいけないのかと、一応女である私は理不尽さを覚える。 でも…と私はユウのことを思い浮かべた。 少なくとも今は、彼にそういう時が来るなんて信じられない。 あれから何回も許したわけではないが、その度に彼はとても嬉しそうな様子だ。まるで散歩に連れて行ってもらえる犬みたいに。 そして事が終わった後も、心底幸せそうに私の髪や羽をいつまでも撫でてくれる。私は行為自体よりもむしろその穏やかで満たされた時間が気に入っている。 だから。 彼は…彼だけは例外なんじゃないかと考えてしまう私は相当舞い上がっているんだろうか。 「待った?」 いきなり声を掛けられ、羽が総毛立つほどびっくりした。 「待ったも何も、別に待ち合わせしてないだろうがっ」 ぱっぱっと羽を直していると、彼がのほほんとした顔で私の顔を覗き込んできた。 「何を怒ってるんだよ。…俺のこと考えてた?」 図星を指され、私は振り返りざまに思いっきり足を踏んでやった。 期末テストまであと2週間。いつもはがら空きの図書館も、この時期ばかりは一杯だ。 私たちは夕方まで勉強した後、一緒に帰途についた。 だいぶ日が長くなったとはいえ、さすがにもう薄暗い。 「じゃあ、また明日」 「うん…」 彼は私にカバンを返し、にこっと笑うと自転車に跨り去っていった。 ……あれ? 私はふと違和感を感じた。 やけにあっさりしている。…いつもはこの時間ならまだ、「ちょっと上がっていい?」と訊いてくるのに。 すぐに帰らなければならない時は、ほんとに名残惜しそうにして、触れてきたり、物影に引っ張り込んでキスしようとしたりするのに。 …何だろ。 別にいいけど。 私は彼が去った方を何となく見てから、家に入った。
by yukino-mori
| 2009-01-09 05:24
| ちょこっと話4
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